ゼロから始めるアラビア語。一体どんな言語なのか

アラビア語への誘い

皆さんはこれまでにアラビア語という言語に触れたこと、あるいは一度でもその言語を目にした経験はあるでしょうか。おそらく日本人の多くの人は見たことも聞いたこともないと答えるでしょう。

それもそのはずで、アラビア文字は日本語はおろか、英語などのヨーロッパ系の言語とも似ても似つかない形をしているのです。事前知識がなければ、それがアラビア語であるとは到底想像もつきません。一度も読み方も書き方も習ったことがなく、ましてや普段の生活で目にすることもない言語は、そもそもそれが言語であると認識もできないでしょう。

アラビア語とは

アラビア語学習に関する細かい説明の前に、まずは一つアラビア語の文章に触れてみましょう。例えば、以下の文です。

.السَلاَمُ عليكم

これがアラビア文字で構成されたアラビア語の文章です。右から左に文字を読み進め(左端にピリオドが打たれています)、ピリオドを除いて全部で11のアラビア文字が存在し、二つの単語が組み合わさることで一つの文章として成立しています。

ちなみに二つの単語とは、السَلاَمُとعليكمという二つのまとまりのことを指しています。文章中では単語と単語の間にスペースがあるため、これが単語的な何かであるという方は勘の良い方だと気づかれていることかと思いますが、読み方については全く想像がつかないのではないでしょうか(実はアルファベットと全く関連がないこともないのですが、ここでそれを解説するとややこしくなってしまうので今は省略します)。

次に読み方ですが、この文章を英語で発音表記すると”al salam aleikum”、日本語だと「アッサラーム・アライクム」と表記することができます。お気付きのように、アラビア語は発音も日本語や英語とはかなり異なる独特の読み方をするため、私たちが日常的に使うこれらの言語では正しく発音を表記することができません。

英語を日本語で発音表記する際にもこういった混乱は起こりがちですが、とりあえずはالسَلاَمُを「アッサラーム」と読み、عليكمを「アライクム」と読むことを覚えておくくらいで大丈夫です。

この文章を日本語で直訳にすると、「あなたがたの上に平安あれ」と言った意味になります。

السَلاَمُが「平安」で、عليكمが「あなたがたの上」と日本語訳を当てはめることができます。

日本語訳から考えると、この文章はどういったシチュエーションで用いれば良いのかわからないかもしれません。ですが、実は日本語の「こんにちは」に当たり、アラビア語における一般的かつややフォーマルな意味合いが込められた、ポピュラーな挨拶なのです。そしてこの挨拶は昼夜のような時間帯や場所、上下関係を問わず使うことができるため、アラビア語学習者の方たちが一番最初に覚える文章でもあります(僕も文字の次に覚えたのがこの文章でした)。

アラビア語の持つ意味

面白いのは、この挨拶はアラビア語話者だけでなく、イスラム教徒同士の挨拶としても使われている点です。中東やイスラム圏は、アラビア語だけでなくペルシャ語やウルドゥー語など、宗教は同じでも様々な言語が各国で使用されているのが現実です。そのため、彼らは日本人から見ると一見同じような顔つきや格好をしていても、お互いに会話はできないということも珍しくなく、公式の会議の際には英語を使うこともあります。

ですが、同じイスラム教徒である限り、「アッサラーム・アライクム」という挨拶だけは変わりません。これは日本でも同じで、たとえ日本人同士のイスラム教徒であっても、挨拶は「アッサラーム・アライクム」を使うことがあります。興味のある方はお近くにある日本のモスク(イスラムにおける教会)を訪れてみると良いでしょう。

そして、このことからわかるのは、アラビア語という言語はイスラムという宗教と深い結びつきのある言語であるという点です。というのも、イスラム教における聖書にあたるクルアーン(コーラン)は全てアラビア語で書かれており、イスラムにおける神、アッラーは預言者ムハンマドに全てアラビア語によって啓示を与えたとされているためです。

そういった言い伝えもあり、コーランと呼べる聖書は全てアラビア語によって書かれている必要があり、コーランの英訳や日本語訳で書かれた書物はコーランではなく、コーランの「翻訳本」であるとされてしまうほど、イスラムにおけるアラビア語の神聖性は大きいものとなっています。この点からも、「翻訳された聖書も聖書」と認めるキリスト教とは少し異なる文化を持っていることがわかります。

カジュアルに言語を学ぶ姿勢を大切に

初めからこういったストーリーを聞くと、アラビア語を学ぶことが少し重く感じるかもしれませんが、どのような言語にもその文化圏特有の背景や歴史というのはあるものです。

アラビア語はたまたまイスラム教と深い関係にあるというだけで、アラビア語を学んでいるからといって深くイスラムに傾倒する必要はありませんし、無理にコーランを読む必要なども全くありません。

むしろ、アラビア語初学者が知っておくべきなのは、アラビア語が現代でも宗教色を帯びているほど文化的で、かつ挨拶の際に相手の平安を思う気持ちを込めているほど平和な言語であるということです。アラビア語は現在世界で4番目に話者が多いとされているポピュラーな言語ですが、挨拶で平和を願う言語はそうあるものではありません。

現在、日本人に求められている言語能力として日本語と英語、そして第三言語の三つが扱えることを推奨している風潮がありますが、アラビア語を第三言語として選ぶのは良い選択と言えます。今、注目を集めている中東地域や東南アジア地域は、アラビア語話者やイスラム教徒の数が私たちの想像を超えると同時に、最も日本人の理解が追いついていない文化の一つでもあります。しかし、アラビア語を学ぶことで言語というツールを習得するとともに、アラビア語を通じてイスラムやそれにまつわる文化を持つ国々のことをより深く理解できるようになります。

アラビア語は最初こそ難しいですが、一度慣れが出てくると徐々に勉強の効率も向上していきます。焦らずコツコツ積み重ね、そして何よりアラビア語を楽しみながら学習を続けていくと良いでしょう。

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